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技術コラム

ステンレス容器でも内容物の残量を簡単に確認したい!
2024/02/06 09:00

ステンレス容器はガラスやプラスチック製の容器に比べ、耐久性やサニタリー性などの面で優れていますが、直接中身が見えないという弱点があります。

容器内でなにかを保存したり反応させる、あるいは混合させたりするときに中身を確認したいということはよくあるでしょう。しかし、通常のステンレス容器は本体・蓋とも不透明で中身を確認することはできません。

そこでこの記事では、ステンレス容器の内容物の残量やようすを確認できるようにするオプション・仕様をご紹介します。

1. 残量だけを見たい

内容物の残量さえわかればよいという場合には、「レベル計」で水位を見たり、「レベルセンサー」を取り付けて測定する方法があります。

1-1. レベル計

ステンレス容器の側面に取り付けるPFAチューブ型のレベル計です。

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PFAチューブに通る内容物から簡単に残量を確認できます。チューブの長さは任意に設定可能です。
PFAチューブとステンレス容器を接続する継手はSUS316製です。ステンレス容器に付いたソケットにねじ込んで取り付けするタイプとなります。
ステンレス加圧容器でも使用できます(~0.4MPa)。

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実際の使用イメージ

▲ 容器の外側から水位を確認できます
▲ レベル計の内面

容器に入れた液体の一部がチューブ内に入り水位が見えるという構造です。
このため液体の均一性が重視される撹拌工程や、洗浄のしやすさが重視される工程ではデッドスペースになり不向きな場合があります

レベル計のオーダーメイド事例

カバー付レベル計

レベル計のチューブ部分を保護するため、ステンレス製のカバーを取り付けました。カバーにレーザーマーキングなどで目盛をつければ、以下のような用途でより便利になります。

  • 供給タンクの内容物の補充点管理に
  • ジャケット容器のジャケット槽水位管理に

ジャケット容器とは内容物の温調ができる二槽式の容器で、ジャケットに溜まった水を熱媒として内容物を温めたり冷やしたりします。十分な水位がないと温調効率が低下するため水位の管理は重要です。

「洗浄時にレベル計を外して洗えますか?」

ソケットにねじ込んで接続するタイプは取り外しができません。
洗浄時にレベル計をステンレス容器から取り外して洗浄したい場合には、取り外しの出来るソケット型ジョイントを使用したヘルール接続タイプのレベル計を取り付けいたします。
お問い合わせやお見積り時にご要望をお伝えいただければ、内容物に最適なレベル計をご提案いたします。

1-2. レベルセンサー

ステンレス容器自体を加工せずに、内容物の残量を確認する方法です。

レベルセンサー(液面計)と呼ばれる機器を使用し、液面の高さを計測します。

例)フロート式液面計、静電容量式液面計、超音波式液面計

レベルセンサーの種類や詳細は下記の記事でご説明しています。あわせてご覧ください。

レベルセンサーの種類について知る

2. 内部のようすも見たい

残量を確認するだけでなく、内容物のようすも確認したいという方には、角フランジのぞき窓①目盛り加工+②内容物が見える蓋の組み合わせがおすすめです。以下でそれぞれについてご説明します。

2-1. 角フランジのぞき窓【KNM】

ステンレス容器の側面に取り付ける、長方形ののぞき窓です。ガラス部から内容物の残量を一目で確認できます。また液面だけでなく液中の状態確認も可能です。

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角フランジのぞき窓の可視範囲は、用途や内容物に応じて決めることができます。
フランジやカバー、ネジはSUS304製で、シリコンゴム製のパッキンが付属します。
ネジで取り付けているだけなので、分解や洗浄が簡単です。

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実際の使用イメージ

▲ 外側から見たようす
▲ 角フランジのぞき窓の内面

※写真は明るさ190ルクス程度の室内で撮影。

レベル計同様大まかな水位がわかります。
設置部の内面は容器の外側に向かってやや出っ張るような構造です。レベル計と比較して容器内にデッドスペースを作らないので、原料混合用の容器や洗浄性が重視される容器でも安心してお使いいただけます。

蓋に光源を取り入れる部分を設けると、容器内が明るくなり視認性がUPします。投入口のように蓋の一部が開閉する仕様や、のぞき窓(サイトグラス)を併用するといった方法があります。

角フランジのぞき窓のオーダーメイド事例

角フランジのぞき窓特注イメージ

目盛り板の取り付け

ご要望に応じてカバー部に目盛りを付けることができます。

ステンレスホッパーに取り付けできますか?

可能です。粉体投入用のステンレスホッパーなどに取り付け実績がございます。

2-2. 目盛り加工

ステンレス容器に目盛りを付けて残量を確認できるようにします。以下では二つの加工方法をご紹介します。

目盛り加工(打刻)

ステンレス容器に目盛りを直接打刻する加工方法です。

目盛付容器(蓋無しイメージ)

物理的に凹凸を作るので、目盛りが消えることはありません。
目盛りの間隔や数は、内容物や用途などご要望に応じて任意の場所や個数に決めることができます。

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目盛り加工のオーダーメイド例

目盛イメージ

10L毎の目盛りを長くする

目盛りの長さは弊社では25mmが標準ですが、目盛りの長さを長くすることも可能です。

目盛りは何か所から加工できますか?

目盛りは1か所から加工することができます。
ただし目盛りの間隔が狭いなど加工ができない場合もあります。

目盛り加工(内面マーキング)

ステンレス容器の内面にレーザーマーキングにて目盛りを加工する方法です。

▲ マーキングのイメージ

打刻と違い、容器内面に凹凸ができないため粉などが溜まりません。
また印刷目盛のように剥離して異物になることもありません。
目盛りの大きさや数、内容物や用途に応じて任意に決められます。数字や文字の刻印も可能です。
※写真の容器はマーキング後電解研磨したものです。

レーザーマーキングとは何ですか?

ステンレス容器のバリデーション管理にも使用される印字方法です。
ステンレスの表面をわずかに削りマーキングするため異物にならず、洗浄しても消えることはありません。

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2-3 内容物が見える蓋

ステンレス容器の内部を簡単に確認できるようにするために、蓋に「のぞき窓」を付けたり、蓋に透明素材を採用したりする方法があります。

のぞき窓【NMシリーズ】

ステンレス容器の蓋に設置したヘルールに取り付けるサイトグラスです。
写真のようにガラスとカバーのみのシンプルな構造のほか、蒸気や内容物の飛散で窓が曇っても視界を確保できるワイパー付き、LEDライト付き、ネットワークカメラ付きなど様々な種類があります。
ヘルール接続のため簡単に取り外しでき、分解や洗浄ができます。

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実際の使用イメージ

▲ 目をしっかり近づけて容器内を見た場合
▲ さっとのぞき込む姿勢の場合(窓と顔の間に距離がある状態)

※写真は明るさ190ルクス程度の室内で撮影。

のぞき窓を覆うようにしっかりと顔を近づければ、内部の状態をかなりクリアに確認できます。(写真左)
写真では水面の位置を確認しづらいですが、実際は水面の反射や揺らぎがありもう少し判別しやすいです。

一方でのぞき窓の斜め上あたりからさっとのぞき込むような姿勢の場合、ガラスに反射して天井が映り込む場合があります。(写真右)
先述の通りしっかりのぞき窓に顔を近づければ解消できますが、あまり姿勢を変えず”ぱっと見”で確認したい といったニーズがある場合、やや使いづらさを感じられるかもしれません。
そういった場合には、可視範囲を広く確保できる方法(この後ご紹介するアクリル蓋や分割蓋など)がおすすめです。

のぞき窓のオーダーメイド事例

「赤外窓仕様ののぞき窓」

放射温度計で内部温度測定ができるように窓ガラスを赤外窓仕様にしました。
のぞき窓の標準ガラスは耐熱強化ガラスですが、お客様のご希望や使用状況に合わせてガラス窓の仕様変更が可能です。

透明アクリル蓋付容器

通常のステンレス製の蓋ではなく、透明素材の蓋を採用した製品です。

CTH-AF製品写真

蓋には食品衛生法に適合した透明アクリル樹脂を使用。ガラスに比べ透明度や耐衝撃性に優れ、万が一破損したとしても破片が大きく飛び散らず安全です。

のぞき窓に比べ蓋全体が可視範囲になるので、内容物のようすをよく確認できます。

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分割蓋

蓋に開口部を設け、簡単に内容物を確認できるようにしたステンレス製の蓋もあります。

分割蓋は蓋を半分ずつ完全に取り外せるのが特長で、その広い開口部から内容物を確認できます。水や汚れが溜まりにくい構造になっており、衛生面にも配慮しています。

また、分割蓋と異なり完全に取り外すことはできませんが、一部を開閉できるようになっている「割蓋シリーズ」もあります。

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